借金=ハングリーではない

【借金=ハングリーではない】(技能実習制度)

海外面接時、送り出し機関側スタッフの日本語能力の問題により、本人が背負っている返済を「借金」という言葉で片づけてしまう傾向があります。

経験が浅い関係者は、「借金」と聞いただけで、「ハングリー」と勝手に解釈し、借金返済のために一生懸命頑張る、借金返済のために途中帰国・失踪はしないなど、身勝手な理想を頭の中で駆け巡らせ、採用を決断するケースもあります。

日本人の採用面接では深入りしてはいけない内容の質問かもしれませんが、海外面接、外国人材の採用では、これも聞くべき質問の1つだと思います。

家、土地、自動車の購入で借金を背負った、日本へ出国するために送り出し機関へ支払う教育費・手数料で借金を背負った、子供の養育費、将来の学費、両親の治療費の為の「出稼ぎ」お金に関わる理由は様々ですが、何かしらの目的で来日を目指します。

関係者の中には多少は借金を背負った方が良い、1年程度で返せるお金であれば許容範囲と考えている方もいます。

よって、ベトナムの出国手数料:3600㌦、日本円にして約40万円、月々5万円送金すれば8カ月で完済、まずまず問題ない、出国上限手数料を遵守している送り出し機関は優良。本当でしょうか?

外国人材は先に述べた、個々の諸事情でお金が必要な理由があり、送り出し機関の門を叩きます。送り出し機関を儲けさせるために来日しているのではありません。よって送り出し機関へ支払う金額と、自身が必要な金額の合算を「借金」と考えており、入国後の手取り金額計算も真剣に行わずに来日した人材は、現実を突きつけられた日から焦りが始まり、失踪、犯罪などを考えるようになります。

多少の「借金」を背負った方が良い派の皆様は、本当に安心して監理ができておりますでしょうか?日々、技能実習生の行動に振り回されていませんか?「借金」があるのと無いのではどちらが良いか?それは「無い」方が良いに決まっています。

現に全ての費用が日本側負担であるフィリピンでは、技能実習生の入国者数は第4位ですが、失踪者はほぼ発生しません。個々の来日目的は当然「お金」です。同じように送金も行っております。ただし違うのは、本人の悲壮感のような「焦り」は感じていないこと。

技能実習制度であっても特定技能であっても、フィリピンの技能実習生で証明された、実績に基づいた制度設計が今後の技能実習制度存続には不可欠となってきます。

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