
外国人材教育や海外生活の経験
【外国人材教育や海外生活の経験】(技能実習・特定技能)
技能実習制度・特定技能に新規参入される方で、過去に国内外で外国人教育をしていました、海外生活の経験を活かして…という紹介で、立派なホームページやセミナーで集客活動をされている方がいます。決して「意味が無い」とは言いませんが、技能実習・特定技能などは、また少し別物の特殊な世界です。
特に過去の経験が「高度人材系」を対象にしていた場合、日本語でも通じる、通訳がいれば通じる、指導した内容を比較的早い段階で理解でき、実践できる人材が揃っております。こういった人材の生まれ育った環境を見れば一目瞭然です。
やや裕福な家庭で育った人材は、幼少より日本人に近い教育環境にあり、大学まで卒業する。地頭も良く、物覚えも良い。どちらかと言えば肉体労働は不向きといった都会派の人材です。
一方、技能実習生・特定技能などは海外へ出国する目的は、自己成長の為だけではなく、完全な「出稼ぎ」。幼少から満足な教育も受けられない環境の人材もいれば、大学など卒業する人材も少なく、狭い価値観の中で育った人材。「教えればできる」性善説的な活躍を見せる高度人材系とは違い、出稼ぎ系の人材は、理解できないのであれば良い方で、故意に人の誠意を裏切るような行動を起こす者もいます。
よって10人いれば7、8人は問題が無い高度人材系とは違い、出稼ぎ系は10人いれば1人2人でも、何事も無く3年、5年過ごせれば感動できる、可もなく不可も無く年月を過ごせたことだけで高い評価を得られるような人材と対峙するのが、この業界の日常となります。
よって熟練の監理団体(移行後の登録支援機関も兼任)は、外国人材が問題を起こさないなどという理想論は誰も描いていないと思います。必ず問題を起こす、その未然防止のためにどのような策を講じるか、問題発生した場合にどのように対処するか、その経験値が財産となっております。
よって過去の外国人材との美しい思い出を経歴とする方の場合、自信満々で参入してきても、経験者にとっては小さな問題でも、大きな落胆となることがあります。その時初めて、安易な集客活動の危険性に気が付き、受入企業を選び始めます。
しかし時すでに遅し。優良企業は優良監理団体と相思相愛であるため、市場に転がっている顧客はどこからも見放された企業が多く、負のスパイラルから抜け出せなくなります。協同組合も登録支援機関も株式会社も安易に設立できる時代ですので、勘違いをした経験値で参入する方も多い世界ですが、やはりどの世界でも修行は大切です。技能実習生同様、入国から配属まで見届ける3年はどこかで修行してからの独立をお勧めします。