悪質とは何か

【悪質とは何か】(技能実習制度)

技能実習機構より「令和2年度外国人技能実習機構業務統計」の公表がありました。本日は「実習実施者における主な違反指摘内容別件数」について少し考えてみましょう。

こういった調査結果を見て、指摘されている「違反」を見ると、すぐに「不正」と思うわけなのですが、確かに「不正行為」、しかし「本音と建前」が存在する制度においては、外国人材側にとっても不都合な不正行為認定があるかもしれません?(ただし現在は全て不正行為に該当しますので制度関係者は法令遵守で)

●実習内容が計画とことなっていたもの

あからさまに実習計画内容と実際の業務に違いがある場合、決して許されることではありませんが、実際には技能実習計画の雛型通りの作業を行う実習現場の方が少ないかもしれません。認定を通すためのコツ、関連作業、周辺作業への追加、監理団体の腕の見せ所です。

●実習時間数が計画と異なっていたもの

「超過残業」を指すとは思いますが、「働き方改革」も進む現在、今の日本では「残業=悪」という考え方が浸透し、当然36協定の範囲内、残業時間は「0」に近い方が良いのですが、外国人材の場合は出稼ぎ目的であり、家族への送金を行い、日本の余暇を満喫できるような経済的余裕も無く、時間を持て余し、基本収入を上回る見込みが無い状況は必ずしも喜ばしくもありません(ただし技能実習生の感情に寄り添い、超過残業を与えると違反です)

諸先輩方の必死な労働により支えられた日本の経済成長、現在は少子高齢化も進む中、5日間の有給消化も義務、週休3日制の導入も話題にも上がります。労働力が不足している国で、「休む」ことの議論ばかりが進む、これでは人手不足も解決することなく、更に外国人材の力が必要になります。

●在留カード・旅券を預かっていたもの

現在は完全に違反です。強制帰国を阻止するような行為が見られた関係者を取り締まるために違反項目として追加された経緯があるのですが、現在は居室も個室対応、鍵のかかるロッカー等を準備して自己管理させなければなりません。

これも一昔前は、日本側と相思相愛であった外国人材が、万が一の紛失、同室人材とのトラブルを避けるために、帰国時まで預かって欲しい、企業側の強固なセキュリティー環境で保管して欲しい(使用時には外国人材の申し出により、いつでも返却)という時代もありました。在留カード(外国人登録証)のような常時携帯品ではなく、パスポート・年金手帳などは今でも預かって欲しいと願う、良好な関係を保つ関係先もあるのではないかと思います。

こういった不正行為(違反指摘)の中には、悪質な人権侵害に係るものから、軽微なミスも含まれます。明らかに「悪質」な内容に関しては、今後も益々「退場処分」を願うばかりです。

技能実習