
【借金前提での出国】
【借金前提での出国】(技能実習制度)
外国人材が「失踪」、「転職」せざるを得ない理由の1つに、背負った「借金」が大きな問題であることは事実です。私的で前向きな「借金」、それが「自己投資」であれば励みにもなるのでしょうが、「出国手数料」「日本語教育費用」であれば、喜んで背負った借金である方は皆無に等しいでしょう。
「日本語」を習得すれば、帰国後も役に立つ…低迷する日本の経済状況を見て、技能実習生レベルの人材が、本当に「日本語」を武器に一生安泰であると思い、話している方は、あまりにも送り出し国情勢について無知だと思います。「日本」という国でしか使用できない「日本語」は、英語のような国際的言語ではありません。
現在ベトナムでは、出国手数料上限:3600㌦という金額が見直されようとしております。増額になるのか減額になるのか、今後は「一律」ではなく、本人が日本で受け取る「基本給」により出国手数料金額も比例する方式が導入されるようですが、その金額が劇的に変わる様子は無く、そもそもベトナムは、母国の平均収入に対し、支払う「出国手数料」プラス「日本語教育費用」の合計金額の差が最も大きい国であるため、これまで「失踪」という悲しい結末を生み出さすことも最も多い国となっております。
この「借金額」は、日本で得る「手取り総額」の約1年分に程度であれば問題ないという考え方が当たり前となっておりました。金額の妥当性・内訳の問題ではなく、金額ありきの徴収。技能実習制度を利用する方々も、そのような考え方が広く認識されているため、出国前に疑問を感じる人も多くなかったのですが、入国後に「為替レート」が悪化すると、出国前に指導を受けていても、本人達としては「焦り」や「不安」が再浮上し、「残業」を求め、「副業」を模索し、中には「失踪」するものや「犯罪」に手を染める者を生み出します。
我々は法令遵守をしております。そもそも「3600㌦」プラス日本語教育費用が妥当なのか?という議論されない国です。日本でも技能実習制度が建前上の「研修」であるように、ベトナム側でも建前上の「研修」を指導しながらも、これは「海外向け派遣労働ビジネス」、国家も関与した外貨獲得ビジネスです。
よって多少の「借金」を背負わせることで「我慢」を強いる。「我慢」の結果と技能実習制度の「転職不可」を合わせて、日本側が望む3年間の「安定雇用」を実現するという魂胆があったのですが、今後は生活不安に襲われた人材に「転職」の権利も与える風潮ですので、日本側も「安定雇用」どころか、「失踪」「不法滞在」「犯罪」が増加するのも必至です。
日本側も、制度上のルールがあるため「帰国旅費」負担程度の支払いには応じますが、転職、失踪と監理費収入が見込めなくなる人材に対しては、「去る者は追わず」途端に無責任な対応になります。
日本では、給料を上げて経済を活性化するべきという声が強まっておりますが、日本の待遇改善に比例して、出国手数料も比例して増額される国では、「出稼ぎ国」としての魅力は薄くなるでしょう。「転職」が可能であれば「解雇」もある。やや安い、不満を感じても、安定収入が望めない国となった場合、日本が選ばれる国であり続けるのか疑問が残ります。