【選択権は技能実習生の手の中に】

【選択権は技能実習生の手の中に】(技能実習・特定技能)

ある方の声明で「労働者の権利、人間としての権利(人権)が尊重されるべき」という内容でいつものように技能実習制度の廃止の主張がありました。

私も技能実習制度「信者」ではありません。制度が見直されようと、制度名が変わろうと、より良いものになるのであれば大歓迎です。

ただ技能実習制度は「労働」では無い建前として、労働者の権利、人権が奪われているものとは何か?ということです。

「妊娠」「自動車運転」3年間の有期雇用における計画を遂行するために許可されている在留資格において、「妊娠」による育児休暇は期間を延長するものになりますし、自動車運転は多額な生活費負担となり、語学力の問題で事故を起こし、かけがえのない若い命を日本で落とす可能性もあります。

ただこれらは「禁止」されておりません。円滑に対応されている方もいる中で、受入責任のある監理団体、受入企業では多くの関係者が嫌がっているだけのことです。母国での面接後、家庭訪問をする送り出し機関、監理団体、受入企業においては、大切なご子息様をお預かりし、両親ともご挨拶した中で、両親も望まぬ行為は看過できない場合もあるだけのことです。

では労働者として奪われている権利と言えば。

それは「転職」です。技能実習制度の建前で言えば、前職要件があり、その技術・技能・知識を習熟させる目的での来日ですので、他職種へ「転職」するなどあり得ない発想なのですが、技能実習制度も労働力の需給調整として利用されているという指摘をするならば、転職も許可した「特定技能」制度を2019年4月より施行しました。

もし日本人と全く同じ労働者の権利を求めるならば、技能実習制度ではなく特定技能を利用して来日すれば良い。何も日本側が強制連行しているのではなく、技能実習か特定技能を選択する「権利」も外国人材側にあります。よって将来的に「転職」も視野に入れるのであれば特定技能で来日すれば良いのです。

では何故、技能実習制度を利用する外国人材が多いのか?

・入国前の費用負担を日本側が負ってくれる

(本人が支払っているとするばらば特定の国、特定の送り出し機関の問題です)

・日本側関係者がわざわざ渡航して面接に来てくれる

・入国後すぐに労働ではなく1ヶ月は講習期間を設けてくれる

・勤務もしていない1ヶ月目の生活費も保証してくれる

・入国・帰国の往復航空券も支払ってくれる

・任意保険にまで加入してくれる

・宿舎は家電製品付きで提供があり、宿舎控除額も良心的

・実習のノルマや業績評価は無く、プレッシャーは少ない

・「転職」はできなくても「解雇」はない

・受入企業倒産時などは日本側関係者が全力で転籍先を探してくれる

これらの内容は日本人と全く同等の権利を与えた「特定技能」にはありません。外国人材が異国の地で、特典も無く日本人と同等に勤務することがどれほど大変なことか?20年以上も収入が伸びない日本において、完全な「出稼ぎ目的」の場合、自身の目標は達成することができるのか?

技能実習制度と特定技能、どちらを選択して日本行きを決めるかは、誰が見ても技能実習制度の方が「上」となります。ただしこのままでは、日本は他国との競争に負け、日本そのものが選ばれない国となります。

それが政府も分かっておりますので、技能実習制度の良い部分だけを残し、制度の見直しを公言しております。相変わらず「技能実習制度の廃止」だけを訴え、共感を得られるような代替案の主張は全くなし。いつも同じ方々の主張だけをマスコミが取り上げ、それイコール技能実習制度のように情報拡散する姿勢にはウンザリとしてしまいます。

私の主張は、「技能実習制度(1年:試用期間上限同等)+技能検定試験(初級)合格時に継続か転職の権利を付与、ただし転職の場合は特定技能要件を満たすこと(日本語能力試験4級以上、特定技能評価試験合格)、その後、特定技能(5年)開始です。帰国旅費は最後に雇用していた受入企業負担」これをベースに議論すればよいと思っております。

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