教えた・教わったかの問題ではなく守らない問題

【教えた・教わったかの問題ではなく守らない問題】(技能実習制度)

「キチンと指導したのですか?」

監理団体が受入企業から、送り出し機関・入国後講習施設が監理団体からよく言われる問題です。

「教えてもいない」下を見ればキリが無い世界ですが、時々このような状況も耳にします。多くの場合は「教えたのに理解していない」。教える側の満足に終わり、使った言葉が難しい日本語であったのか、言葉が速かったのか、身振り手振りや視覚教材が不足していたのか、技能実習生の「うなずく」表情や「わかりました」という返事、一部の日本語が上手な技能実習生の反応だけを鵜呑みにしてしまった場合もあります。

重要なのは教えたか、教わったのかではなく、実践できるかどうか。結果で全てが判断されます。よって配属前までの講習では、座学での勉強以外に、買い物、清掃、食事作り、自由時間の過ごし方などから、技能実習生の行動を観察し、違和感のある行為・行動を行わないか指導していく必要があるのです。

「講習時間」の範囲では最低限の指導を行っても、それ以外の時間、夕方以降から休日まで、しっかりと向き合う姿勢が無い関係者の元で時間を過ごせば、母国での振る舞い同様、傍若無人な素行を配属後も露呈してしまいます。

正しく教えれば理解・実践できるタイプの人材は及第点です。配属前はあくまでも訓練期間、そこでの失敗は許されます。しかし配属後は企業側から給与を頂く存在に変わります。一度や二度の過ち、不正行為が覆らない評価となってしまう場合もあります。

水際対策緩和後の入国では、そういったレベルではなく、最初から守る気が無い人材の入国が増加しています。守る気が無いのですから指導をしても無駄に終わります。

ではどのような方法で「守らせるのか」

罰金、体罰は当然ダメ、厳しい言動はパワハラと言われ、未然防止のために書かせた誓約書は日本人同等ではない人権侵害と非難される。

「お願い」ベースでも守れる人が多い日本人とは違い、習慣や文化の違う外国人にはお願いや指導でも、抜け切らない習慣もあります。明らかに日本人とは違う習慣である部分は、日本人も許容できるでしょうが、各国共通とも思える常識的な部分の欠如は、時に事件や事故へと繋がりますので、送り出し国、送り出し機関、採用人材、入国後講習施設などのパートナー選びは本当に重要になるのです。

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