技能実習制度の見直しについて

【技能実習制度の見直しについて】(技能実習・特定技能)

「目的と実態の乖離(かいり)がある」

「着実に議論を深め、長年の課題を歴史的決着に導きたいと考えています」

技能実習制度の抜本的な見直しを公表しながら、古川法務大臣自身が退任となり、制度関係者の皆様におかれましては、ホンマに大丈夫なのか?という声が聞こえてきそうです。

今後の技能実習制度について…

・見直し

・技能実習制度と特定技能の一本化

・全く新しい制度の施行

着地点をどのあたりに落とし込むのか、早ければ来春施行…という声も聞かれましたが、今回の内閣改造、争点の難しさを考慮しても、来春までには間に合わないとの意見も聞かれています。

ここからは、私個人の意見を書かせていただきます。

最も難しい争点とは「転職」の問題。

技能実習制度であるから、あくまでも「研修」の一環であるからこその「転職不可」の原則。先人の方々は、外国人労働者の受け入れ方法として、「移民」問題に抵触することなく、「建前」を利用した、よく考えられた制度を作り上げたと思います。

しかしここへ来て、制度利用者も増加し、各国からの批判の声も高まり、「転職」不可の原則が人権侵害に当たるとの声が多くなりました。

この問題の難しさ、各地方団体からの支援を受ける役人の方にとって、技能実習生までもが容易に転職自由となると、地方が衰退するとの反対意見の声もあり、簡単に結論付けることができない問題となっています。

この問題で更に検討しなければいけない課題は大きく2つあります。

まず1つ目、地域別最低賃金を捨て、同一労働、同一賃金を実現できるのか

技能実習制度を利用する多くの外国人材の目的は主に「出稼ぎ」、正直1円でも所得の高い企業へと流れる、所得が高ければ都会でも地方でも構わないのが実態です。

よって、今でも地方企業が、東京並みの賃金を用意できれば、失踪、転職不安もなく、優良な外国人材からの応募が可能、日本人ですら都会へ出て行かないかもしれません。地方企業が役人に対し、技能実習生の転職に難色を示す代わりに、賃金を見直せるのか?いずれにしても難しい課題なのです。

また転職だけが問題であれば、現行でも「特定技能」制度を利用した入国を果たす方法があります。しかし両制度において、なぜ?相変わらず技能実習制度の方に人気が集中するのか。

それは制度批判を浴びる部分はごく一部の問題であり、外国人材にとって多くの恵まれた部分があるのが技能実習制度。外国人材は両制度を見比べても、技能実習制度の方に優位性があると判断しているからなのです。

至れり尽くせりの受け入れ準備、転職不可の代わりに認められない「解雇」の問題。有期雇用(3年・5年)という期間の中で、お互い割り切って在籍するほど安心できる制度は在りません。

次に、建前の「研修」ではなく、本音の部分の「労働」を認めた場合、国民感情を煽る「移民」議論の問題。犯罪増加、治安悪化だけでなく、子供の教育問題、日本人の雇用問題等、技能実習制度の見直しから始まった問題が、更に大きな問題へと飛び火して議論を行う必要が発生します。

最後に「お金の流れ」の問題。世間では「借金問題」と言いますが、これは違います。本人達が話す「借金」の内容は様々であり、個人的な住宅ローン、養育費などから、ブローカーへ支払う紹介料の問題等、幅広く存在します。

しかし国外で発生する問題には、日本側では解決が難しい問題も含まれます。ブローカー行為が横行する国では、日本側の対応には限界があり、問題の多い国からは受け入れを停止する以外の方法はなく、永久に解決することはできません。

問題は外国人材を雇用する際に、受入企業が支払う「お金の流れ」の『構図』の問題です。受入企業が直接監理団体へと支払えば、本来求められる「監理」は実現せず、受入企業は「お客様」となる。監理団体が送り出し機関へ「入国前講習費用」「送り出し管理費」を支払えば、送り出し機関にとって、日本の監理団体は「お客様」となり、キックバック・高級接待は繰り返され、不足する部分は外国人材の負担=借金となります。

国際的な非難を浴び、ここまで明らかになった構図を改善するには民間主導ではなく、費用の徴収、支払いに対し「政府が介入」するしかありません。

私個人が考える「3つの柱」が抜本的に改善されなければ、如何なる制度見直し、新たな制度施行も、技能実習制度の二の舞となります。

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