
家族帯同の提言は時期尚早
【家族帯同の提言は時期尚早】(技能実習制度)
今後の技能実習制度の見直しとして「家族帯同」を求める提言もあります。百戦錬磨の制度関係者の皆様は、どのような思いでこの提言を受け止めているのでしょうか?
技能実習生、海外からの出稼ぎ労働者の多くは20代前半、中には10代後半の方もいます。仮にこのような若さで結婚をして、子供を養育して、同じ日本人でも両親の支援無くして、豊かさを実感できる生活が送れる夫婦がどの程度いるのでしょうか?
まず出稼ぎ外国人材の場合、海外で労働したお金で母国の家族を支える、逆に海外での生活に資金援助をしてくれる家族・両親など皆無に近いと思います。
また日本で外国人労働者を求める受入企業、特に技能実習制度を活用する企業の多くは地方の中小企業。こういった企業の待遇が、結婚相手、子供を呼び寄せ、十分な生活環境を提供できるとはとても思えません。
では家族3人、4人を養えるだけの待遇を用意すれば良いと言う方もいると思いますが、入社年数、年齢給を乗じても、就業規則、賃金規定に沿って実現できる企業は、外国人労働者に依存しないと思います。
このような環境が待ち受けている場合、結婚相手は語学学習の意欲に関係なく、夫婦共働きで資格外活動(アルバイト)に出掛けるしかありません。果たして不十分な語学力で採用してくれる企業があるのか?勤務時間中の子供の養育問題は?育児施設に預けるにも費用が発生する、育児施設での子供の語学問題、出稼ぎ労働者の目的は母国の家族を支えること、日本で日々の生活に追われることを望んでいるのではありません。
後先を考えれば、家族を帯同させようと考える外国人労働者は少ないと思います。旦那様が稼いだ給料を母国に送金し、母国の奥様や子供、両親が裕福に暮らす生活を選択すると思います。
新たな制度改正に盛り込んでも構いませんが、利用する人の優先順位は低い。現場を知らない有識者・専門家が集まると、この時期に、その問題を議論する?ということになるのでしょうか?世界で20位内の平均年収にも満たない円安国家の日本に必要な議論の時間が割かれますように。