
混乱の今春を振り返り
【混乱の今春を振り返り】
(技能実習生入国者数)
2022年4月:37,690人
2022年6月:21,919人
2022年7月:12,610人
新型コロナウイルス問題前、2019年「技能実習1号」の在留資格で新規入国した技能実習生は「173,705人」でした。単純比較でその約63%の人達が1年ではなく4ヶ月間で入国したのですから当時の現場は混乱するのが当然です。2019年の月平均の入国者数は14,475人(4ヶ月間で57,900人)今春4ヶ月間の入国者数108,999人は約2倍ですので、入国後法定講習施設も多少の無理をして通常の2倍近い技能実習生が在籍したことは容易に想像できます。
入国時に隔離施設帰りの技能実習生の送迎、直接入国でも約5時間も必要とする検疫手続き、自主隔離施設(ホテル)への送迎、食事の宅配、約2年間休眠状態であった講習施設も人手不足、度重なる変更が発生する水際対策に振り回され続けました。
現在は静寂を取り戻しており、落ち着いた環境の中で、座学講習、食事、就寝も行われておりますし、一時は「モンスター」と命名した人材も減少し、送り出し機関で多少なりとも事前教育をされた人材が入国しておりますので混乱はありません。
高額な費用をかけ、2年間待たせた技能実習生を入国させたのに、わずか2ヶ月、3ヶ月で帰国の途に就いたモンスター人材もいると思います。
制度を熟知されている方は、一般監理団体の特典を設けず、特定監理団体も同時入国、在留資格証明書の発行順も関係なく入国させると舵を切った瞬間、この混乱は十分に予想されました。それでも実現したい技能実習生の入国。そのような方は「それでも構わないから…」という言葉を添えて交渉をされておりました。
外国人材の制度、世間の情報に疎い関係者は、自己中心的な考えで行動し、あそこは高い、あそこは混雑していると、まるで水際対策も無く、平常時の入国を実施しているかのような上から目線の交渉をされておりました。
現在、海外面接をしている人材が半年間の入国前講習を終了するのが来年早々。とは言え、正月早々、2023年旧正月である1月23日前後は、送り出し機関の対応も鈍り、技能実習生も出国を希望しないことから、やはり来春3月前後は大混乱に見舞われます。
自己中心的な発想をする監理団体の存在は、今春の一連の騒動で送り出し機関、入国後講習施設も十分本性を見極めました。「困った時はお互い様」、優良な人材をお届けしたい気持ちはどの関係者も同じ。今春の対応で、来春、監理団体が困った際に、お金より大切なものを失ったことに気が付かないよう、日頃よりズブズブの関係はダメですが、持ちつ持たれつの関係は多少必要です。