
特定技能2号分野拡大議論
【特定技能2号分野拡大議論】(特定技能)
出入国在留管理庁が公表した「制度見直し及び制度運用見直しに関する報告」について、私なりに提言したいと思います。
「特定技能1号の在留可能期間の上限が5年」
受入企業側の意見だけを聞けば、「5年で帰国するのは可哀想」とも受け止められる特定技能2号分野拡大議論、現在は建設、造船・船用分野に限られています。
まず拡大するのが簡単なのは「国家資格」を有する分野への拡大。日本人でも合格率の低い、上位の国家資格が存在し、そこへ合格するとなれば、その能力は確実に日本人以上、日本語で合格するレベルともなれば、日本語能力も2級、1級と所持しており、高度人材にも該当するような人材として許可していくのは容易でしょう。
国家資格が無い分野に対し、新たな試験の導入、社内テストなどとすると、平等性に欠けるとして議論が難航、これが特定技能2号分野拡大議論を延期してきた原因の1つでもあります。
この結論に目途が立ったかどうかは分かりませんが、最も重要なのは、受入企業の「待遇問題」にあると思います。
現在、特定技能1号の平均月給が約25万円とした場合、年収は300万円となります。
日本人同等、就業規則・賃金規定に沿っていたとして、物価も上昇する日本での生活、「出稼ぎ」目的として母国へ送金し、残金の生活で5年以上も絶えることができるのでしょうか?
この状況で、日本人を上回る猛勉強を行い、国家試験に合格し、晴れて特定技能2号へ移行した場合、受入企業がどの程度の待遇UPを行うのか?
日本人も同じですが、自身の勤め先で、何か資格を取得して、「資格手当」が付与されて資格を取得して良かったと実感している方がどの程度いるのでしょうか?
正直、待遇には期待していなかったが、資格を取得することにより、今後の転職時に有利となる、そのような考え方は外国人材も同様です。むしろ外国人材の場合は、一生日本で生活をするのではありませんので、そこまでの苦労は望まず、有期雇用の5年で帰国する方を望む声の方が多いと思います。
仮に一カ月1万円の資格手当を獲得しても年収12万円の増加。ここで出入国在留管理庁は社内規定が日本人同等であれば特定技能2号への移行を許可するでしょうが、家族帯同の申請の際、婚姻相手、更には子供まで連れてくるという申請の場合、年収300万円が312万円になっている状況で許可を出していく責任が持てるのか?技能実習制度とは違い、誰も事前面接もしていない婚姻相手、お子様が、特定技能2号移行者の待遇では生活が難しいと判断した場合、許可をしないかもしれません。
言葉が不自由な婚姻相手、子供も安心・安全な生活が送れるような特定技能2号者への待遇。まさか受入企業は安易に、今の待遇に少し毛の生えた程度の待遇で永住してもらえるなど考えて調査に応じていないか心配です。