
借金問題の看過
【借金問題の看過】(技能実習制度)
・送り出し国におけるブローカーへの仲介手数料
・日本側が要求するキックバック・高級接待費用
技能実習生が背負う大きな借金の二大要素とも言えますが、書面上の「証拠」を残す人はいませんので発覚に至るケースは少ないのが実情です。
もう1つ、不透明かつ、日本側に責任があると思われるのが「教育費用」の問題。パスポートの作成や、面接に参加するために健康証明を行う健康診断費用などは自己負担であっても仕方がないと思いますが、海外面接にて合格後(内定)から始まる教育費用は、本来日本側が全額負担する費用でありますし、日本側が語学力を要求するのであれば、必ず事前研修費用として支払うべきだと思います。
ここで実態と隔離している制度のグレーな部分が「入国前事前講習」の原則とその費用。
・入国前の6か月以内に、1か月以上かけて160時間以上の講習を行った場合は、入国後の講習は活動予定時間の12分の1以上
という講習時間の規定。簡潔に言えば、送り出し国で1か月以上実施していることが前提で、多くの制度関係者は入国後の講習期間は1カ月しか行っていない。仮に日本側で「活動予定時間の6分の1以上」、いわゆる入国後に2カ月以上の講習を行うのであれば、送り出し国での講習は実施しなくても違反ではありません。
しかし送り出し国での講習を行わず、全て日本側で実施している関係者は皆無だと思います。理由はコストダウンのため。
日本での合宿型(寝泊り型)の1カ月講習費用の相場を6万円~8万円とした場合、送り出し国との物価相場差を仮に5倍としても、送り出し機関における同様の講習費用は12000円~16000円ぐらいになると思います。
制度関係者は抽象的に高い日本語レベルを要求しますが、送り出し機関では具体的に「みんなの日本語」(教材)を使用して1課~25課まで勉強してきます、4級相当で派遣しますとアピールしてきます。
その教育を達成するには、およそ半年間は必要と言われております。よってどの制度関係者も最低限、希望入国予定日の6ヶ月前には面接を終了し、日本側では申請に取り掛かっております。
レベル差はあっても多くの技能実習生は「6カ月」前後は講習を行っている。先に紹介した1カ月の講習費用相場を12000円~160000円とした場合、6カ月では72000円~96000円は必要となるわけです。
この実態を技能実習機構も知りながら、多くの送り出し機関と交わす入国前講習費用の相場は15000円~30000円?いわゆる日本側の技能実習制度運用要領に記載された、最低期間(1ヶ月)の金額にしか応じていないような送り出し機関では、間違いなく技能実習生自身が残りの教育費用を支払っていることになります。
技能実習計画の認定審査を行っている技能実習機構では、確実な証拠として全額支払いに応じていないであろう実態を理解して看過してきていることが借金問題の要因の1つにもなっております。制度見直しは有識者・専門家も十分な知識、経験、現在進行形で従事している方々により議論をされていると思いますが、「本音と建前」があっても送り出し国や技能実習生に不幸が降りかからないような実態に基づく制度設計、お金の流れを実現してもらいたいと願っております。
