外国人材セミナー登壇「株式会社」ばかりで大丈夫?

【外国人材セミナー登壇「株式会社」ばかりで大丈夫?】(技能実習・特定技能)
技能実習制度の見直し、特定技能への一本化、このような動きに転じて、一層「登録支援機関=株式会社」の方々が勢いよく動き出しております。
ド派手なセミナー宣伝広告、イケメンな宣材写真、凄いのだが凄くないのか良く分からない経歴…出てくる言葉は「ビジネス」ばかり、「笑顔」「定着」「教育」「国際協力」など、この業界に参入する条件、登録支援機関の役割である「支援」にも似たような発言・発想が無いことに違和感どころか不安を覚えます。
そもそも今回の「技能実習制度の見直し」の経緯を振り返ってみましょう。
・技能実習生が背負う多額な「借金」
・制度上不可能な「転職」の問題
大きな2つの課題。難しい問題なのでしょうが、実は解決方法は難しくありません。
キックバック、高級接待の要求、送り出し機関に対する適正金額の支払いに応じない監理団体、日本側に非がある問題、その費用が技能実習生の支払いに転嫁する要素を犯した監理団体は二度と参入できないほどの厳罰に処するか、国が(ハローワーク)が仲介すれば良いだけ。注意喚起を行っても改善が見られないブローカー利用、高額な出国手数料を徴収する送り出し国とはお付き合いをしなければ良いだけのことです。
「転職」に関して言えば、「転職不可」な技能実習制度か、「転職可」の特定技能、2つの選択肢が今でもありますので、外国人材が選べば良いだけ。仮にブローカーや高額手数料の問題が改善されても、技能実習制度ではなく、特定技能を選択した場合、往復航空券、任意保険料(医療費)、住居費、家電製品の購入などの自己負担金額を電卓で叩けば「どっちが得⁉」なのか分かると思います。
技能実習制度に「転職」が無いことを非難する人がいますが、言葉も分からない、文化も違う国で「解雇」されないことがどれほど幸せか。技能実習計画の遂行という名の下に、日本人に課せられる「業績評価」を背負わないことが、どれほど楽なことか。
技能実習制度には「転職」が無い分、「解雇」も無く、他の監理団体からの「引き抜き行為」もありません。残るは「失踪」か「途中帰国」。受入企業に人権侵害に該当する行為が見られれば転籍先を探します。技能実習生が問題児であれば自主退職を促し、強制にならないよう帰国へと導きます。
これが「株式会社」である登録支援機関であれば、引き抜きもありますし、帰国ではなく「転職」で職業紹介ビジネスへと繋いでいきます。
技能実習制度において監理団体には「非営利」を求められ、営業行為を禁止され、外国人材が人身売買の的、奴隷のように「物」として扱われることを禁じられています。結局、誰も得をしない結果になるため、「定着」を実現するよう、定められた3年間は責任を負って面倒を見る義務を果たす自然な構造となっているのです。
これを「営利目的」の有料職業紹介事業の参入が主体となれば、どのようなことが起きていくのか想像できますよね?
「転職」=「悪」から、「転職」=「不幸」になる実態を目の当たりにし、それこそ諸外国から人身売買、奴隷制度の声は更に高まり、外国人材は出国前の「借金問題」から、来日後に背負った「借金問題」へと発展していく。セミナーや、有識者、専門家は「監理団体」主体に議論、情報発信を行わないと、制度の見直しどころか、より悪化した制度の誕生へと導きます。

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