円安の影響

【円安の影響】(技能実習制度)

2022年10月1日より、地域別最低賃金が更新されます。監理団体・実習実施者の皆様、さすがにこの時期の恒例行事ですので、技能実習生の基本給の見直しを忘れる方もいないと思います。

毎年、最低賃金が上がっているとはいえ、日本人の給与を見直す必要がある企業は少ないと思います。

しかし、技能実習に関しては、語学力、スキル、年、経験が日本人以下だから?それとも配属までに発生する費用(受け入れ準備金)、宿舎設備、監理団体に対する「監理費」の支払いと日本人以上に経費が発生するから?とにかく、技能実習生の賃金は最低賃金「ギリギリ」もしくは「一の位」を繰り上げた程度の時給換算で抑えようとします。

世間からは「低賃金」と揶揄されますが、ギリギリであっても1円でも上回っていれば「合法」、違法にならないための最低基準が「地域別最低賃金」なのですから、守っていれば非難されることは余計なお世話と言いたいところだと思います。

かなりの賃金上昇と感じている方がいると思いますが、新型コロナウイルス問題前、2019年の9月10日と、本年2022年9月10日を比較すると「1,07倍」の上昇となっております。

しかし昨今の為替相場(円安)の影響は、アメリカドルだけではなく、東南アジア諸国、技能実習生送り出し国にも影響が出ております。

添付画像の主要送り出し国(8か国)の為替相場の悪化は平均「1,21倍」この状況は、受入企業側としては毎年人件費が高騰していると嘆いても、技能実習生側の立場からすれば、3年前に入国してきた技能実習生よりも手取り総額が、母国換算すると目減りしているという状況になります。

技能実習生の主な来日の目的は「出稼ぎ」先輩技能実習生、特定技能であれば、相場が悪い時は海外送金を控える余裕があるかもしれませんが、来日早々の技能実習生は出国時に身内・金融機関から背負った「借金」を一円でも早く・多く返済したい。この2年間待機していて、2年前に聞いた話とは違っているといった状況になっております。

このことは失踪の要因にもなりますし、今後の募集にも影響が出ます。2019年10月時点の「901円」の「1,21倍」、現在の時給設定「約1,090円」、平均176時間(22日間)勤務の受け入れ企業の場合、技能実習生でも基本給「191,840円」位は無いと、3年前並みの人材は募集・採用できないかもしれません。

政治家・専門家・有識者は「選ばれる国」でなければいけないとは言いますが、個々の受け入れ企業にとっては自身の企業に優良人材が来日し、教育→定着して長期的な戦力になれば良いだけのこと。ただし人材募集のライバルは「都市vs地方」ではなく、「vs世界各国の受入企業」となっておりますので、アメリカドル、地域別最低賃金ではなく、活用している送り出し国との為替相場を見ながら賃金設定を見直していくことも必要です。

ちなみにミャンマーは世界各国からの経済制裁の影響もありますので、稚拙な判断にはご注意ください。

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