
適正な講習期間
【適正な講習期間】(技能実習制度)
入国後講習の時間は、技能実習1号ロ(またはイ※)の場合、活動予定時間の6分の1以上です。例えば、技能実習1号ロ(またはイ)の活動時間が1,920時間と予定されている場合、その6分の1である320時間以上の講習が必須です。
しかし、入国前の6か月以内に1か月以上かけて160時間以上の講習を行った場合、入国後の講習は12分の1以上に免除されます。例えば、技能実習1号ロ(またはイ)の活動時間が1,920時間と予定されている場合、この条件を満たすと、入国後に必要な講習の時間は160時間以上になります。
もっともらしい技能実習法の一文も、制度関係者の多くは「要は入国後1カ月の講習」程度の理解者から、入国後講習施設に丸投げで、講習施設が指定してきた配属日に企業へ連れて行けば問題ない程度にしか理解していない人もいると思います。
今回の「技能実習制度の見直し」、大きな柱として「借金」「ブローカー」「転職」の3点あたりを、諸外国、人権団体の関係者から非難を受けない程度の結論が出せれば御の字だと思いますが、どこまで議論を深め、この機に制度改正を進めるかの問題があります。
その1つ、何の根拠も無い制度設計に「講習期間」の設定があります。
送り出し国側で1カ月以上、講習を行った体裁を整え(実際に実施していない関係先は皆無だと思いますが)入国後1カ月以上の講習を行えば法的な問題も無い。処罰をされることはありません。
ただ講習の実施内容は「法的保護に必要な情報」(8時間)以外には特に規定もなく「お任せ状態」。ただ委託しても全責任が「監理団体」にあることだけは決められており、委託した講習施設に文句を言っても処罰をされるのは監理団体となります。
「移民」は賛成できない、それでも外国人材の増加は止む無しの中で、入国者の増加に比例して、事件(犯罪)、事故も増加することは本意ではないと思います。
多くの監理団体が丸投げ業務委託を行う現状でも、技能実習法において委託先となる講習施設に対しては資格要件もありません。
委託している監理団体ですら、「法的保護に必要な情報」(8時間)は必須で、日本語…あとは恐らく…公的講習(警察・消防)…恐らく“ゴミ出し”“掃除”…」と自信を持って1か月間も何を指導しているかお答えできる人は少ないと思います。
「恐らく委託先で指導している“はず”」程度の状況で、本当に国民が直面する不安や問題は未然防止できるのか?
“挨拶”、“買い物”あたりの内容は、習得していなくても、本人と受入企業が困る程度の問題。集合講習の施設では配属先の詳細な“ゴミ出しルール”までは指導できませんし、騒音、賭博、違法薬物、自動車運転、妊娠、インターネット売買…とデリケートな部分は、送り出し機関における「裏の誓約書」に期待をしているだけで良い状況なのか?
約20年近い現場経験を行う私から言わせれば、実際は講習施設での講習は3週間程度で良い。しかし配属後、1週間は受入企業における講習を義務付けさせ、「安全衛生教育」「宿舎ルール」「ゴミ出し」「近隣案内」「通勤指導」「入社手続き」「作業着準備」「非実務現場指導」「従業員との交流」など、本来1カ月講習期間終了後に行うべき内容なのですが、受入企業としては配属したらからには1日も早い現場作業を望んでしまう気持ちも理解できますので、講習期間は変更せず、実施方法の見直しや、制度上で指導すべき項目を指定するなど、外国人材が共存できるような持論を持って、有識者・専門家の方には議論を深めていただきたいと願っております。