
この子、いつか途中帰国(失踪)するだろうな
【この子、いつか途中帰国(失踪)するだろうな】(技能実習制度)
新しい技能実習生が入国してくる。受入企業は期待を膨らまし、監理団体は監理費徴収が増える喜びと、問題発生・業務も増加する不安で複雑な心境となります。
入国時、監理団体・受入企業も立ち会わない空港送迎で、入国後講習関係者は迎えた技能実習生を見て「これはダメだ」と思う直感は、恐らく当たると思います。優良人材とそうではない人材の違い、文章で表現するのは難しいのですが、毎日のように良いも悪いも見ていけば直感は当たるようになります。
講習が始まり、1日8時間立ち会う講師(教師)も、「授業」という中で、黙って静かに座っていれば簡単には見抜けないのですが、清掃の時間・食事の時間、休憩中などの態度・行動を見て「これはダメだ」と分かってしまいます。
週末、講習(勉強)をしない日の様子を見れば「自信は確信」へと変わります。この人材は途中帰国(失踪)するだろう…早ければ●ヶ月…絆創膏的な「仮面」が剝がれないよう、少しでも長く続けばよいが…この予感は的中するでしょう。寝食共に1カ月、それは簡単なことです。
監理団体へは遠回しに(単刀直入に?)「ダメですね」とお伝えしても、どこまで理解したか、とりあえずは配属するしかないので連れて行きます。
受入企業も一緒に過ごす時間の中で、何度も問題行動を繰り返しますので、早々に気が付くと思います。それでも受け入れた責任、多額な先行投資もあり、「我慢、我慢」と言い聞かせて解雇ができない、転職も無い技能実習制度。とりあえず監理団体へ助けを求めます。
「実感」が沸かない監理団体は、通訳職員へ指示命令、送り出し機関からの注意などで問題を先送りにする傾向があります。その間にも続く問題行動。受入企業は我慢の限界。技能実習生も失踪の計画。監理団体も本人への改善指導が功を奏せず、途中帰国するわけでもなければ、失踪でも何でもしてくれと投げやりになり、実際に失踪しても、対応も100戦錬磨のため、慌てることなく淡々と処理を進めていきます。
こうしてまた一人、危険な要素を含んだ人材が野に放たれていくのです。性善説に基づいた現場経験もない人達は、このような状況を想定して議論していることは無いと思います。現在は、制度もかなり厳しくなり、優良な関係者、優良な人材も増えたと思いますが、これもまた「現実」です。
犯罪行為に手を染めるであろう人材、後に殺人を犯した人材、皆様も対峙したことがありますか?躾?教育?モノ申すのも恐怖を感じます。このような人材を入国させない未然防止対策、今のままでは確実に増加する事件(犯罪)・事故。事件が起こらない「会議室」で議論しても良い制度には生まれ変わりません。