
特定技能人材は問題児となるのか?
【特定技能人材は問題児となるのか?】(特定技能)
「借金」「ブローカー」「低賃金」…このようなキーワードで非難される「外国人技能実習制度」実態は、外国人技能実習機構、厚生労働省(労働基準監督署)、法務省(出入国在留管理庁)などの厳しい目が光る中、一部の法令違反に抵触する関係者によって、制度そのものが否定される状況となっております。
問題は制度そのものではなく、ルールが守れない方々の制度参入。完璧な制度を構築しても、違反者を退場処分へと追い込めなければ、如何なる制度構築も批判されるため、違反者に対する「厳罰化」をより強化するしかないのです。
代替案もなく、ただ「技能実習制度廃止」論を唱える方々の存在、「特定技能」のみが存在した場合、「外国人材側」の問題はどのように展開していくのでしょうか?
➀「特定技能評価試験」合格、及び語学要件、国外受験者の新規入国
②「技能実習2号」修了者からの移行
➂ 卒業する「留学生」からの移行(特定技能評価試験への合格)及び語学要件
以上のような形態で在留資格交付が交付されます。
➀に関して、国外在住の方は自力・自己負担にて希望する職種、語学要件の合格を目指さなければいけません。技能実習生のように、面接段階では金銭負担が無い立場と違い、先行投資で事前勉強をされる相当な覚悟を決めた方々からの応募。更に正社員同等の待遇を行う日本企業の面接は、初心者歓迎(実際は建前上でも同職種の経歴が必要)の技能実習制度と違い、一切の妥協を許さない厳しい目が光ります。よって語学能力・性格面などに疑問が生じる場合には不採用とされ、合格(入国・入社)させる人材は、早々に日本人同等に扱った対応をされてしまうと思います。
②に関しては、3年間(及び5年間)で良好な関係性を構築した人材のみを移行させるのが受入企業の心理です。問題を起こすような人材は、技能実習終了と同時に帰国、技能実習生のボーナスステージのような活用になります。
➂に関しては、①の状況とほぼ同じ。①は「海外」面接の為、渡航して対面形式での面接を行うか、オンラインの面接で行うかであるのに対し、留学生の場合は、より対面形式面接を行う機会に恵まれるため、採否の判断の精度が上がります。
では特定技能人材はどこに問題が生じていくのか?
採用された、移行させていただいた受入企業での就業を継続すれば良いのですが、道半ばで「転職」を検討していくことを考える人材の存在。受入企業には内密に受験を行い、転職行動に走る。これが2社目であれば新たな受入企業も本人の前職退職理由の言い分を聞き入れるでしょうが、履歴書を見て、3社、4社と転職を繰り返す人材は、「まとも」な企業であれば採用を見送ります。
他職種の特定技能評価試験の合格を所持、語学要件を満たすのに定職につけない。「無職」の「元」特定技能人材が日本国内で不法滞在状態となり、帰国責任も不明確、治安悪化の原因へと繋がる可能性があります。
(転職ブローカーの存在)
外国人技能実習制度は「転職不可」、技能実習生の「保護」に努める法令遵守が義務付けられていますので、日本では外国人材を「売り物」にする方の存在はありません。しかし特定技能では「紹介料」ビジネスを企む仲介業者を生み出し、転職希望者を「金づる」とし、定職者に対して「引き抜き行為」を行うこともあります。
技能実習制度に非難されるような問題は、法令を遵守しないような方々の存在と厳罰化不在の状況。ここは特定技能であっても変わりません。外国人技能実習制度で違反を指摘される企業では、同様に日本人従業員も同じ被害を受けています。よって外国人技能実習制度が廃止、縮小化され、特定技能の存在が大きくなっても、外国人材に関する問題は変わらない、もしくは悪化し、新たな日本人の転職ブローカーにより、外国人技能実習制度しかなかった時代は良かったと回顧する日が来てしまいます。