
技能実習と特定技能を一本化しろとか簡単に言うけれど
【技能実習と特定技能を一本化しろとか簡単に言うけれど】(技能実習・特定技能)
出入国在留管理庁が公表した「制度見直し及び制度運用見直しに関する報告」について、私なりに提言したいと思います。
この考え方そのもの悪くはない、というよりも自然な流れ。もっとも技能実習は技能実習機構へ、特定技能は出入国在留管理庁へと、受入企業も変わらないのに申請先が違う、この方がよほど不自然です。
とは言うものの、ここが簡単な議論で片付けられないのは、登録支援機関の多くが「株式会社」によって占めさせてしまった現状。監理団体に営利性を求めるのは簡単(今でも形式的な一次事業、メインは技能実習事業)、逆に「株式会社」に対し、技能実習制度の「趣旨」のような考え方を植え付けるのは難しいからです。
監理団体は頭のどこかで「国際貢献」という言葉を忘れることはありません。よって「本音と建前」と揶揄されても、受入企業に対し「定着」を実現するための「教育」を求める、1年目の月一度の監査、2年目以降の3ヶ月に一度の監査以外に、対応・訪問機会が発生すると損失が発生しますので、世間では「強制帰国」の実態があるなどマスコミが取り上げ、制度の闇として面白おかしく情報拡散しますが、実態はそのような事態とならないよう未然防止、再発防止に努め、最悪の事態となっても失踪防止に努め、「強制」ではなく、「自主退職」に導き、感情を抑え、帰国旅費の負担にも応じて帰国させるなど、制度趣旨を守り、人権を保護する動きに転じます。
しかし職業紹介を有した「株式会社」の場合、「定着」と「帰国」の選択肢に加え、「転職」という逃げ道を作ることができます。トラブルに発展した場合、外国人材本人の意思を聞き入れ、条件に適う受入企業を探し、斡旋する。「定着」や「教育」という、難易度が高く、時間も必要な技能実習制度とは異なり、「人」を他社へ動かすだけで「紹介料」を得られる安易なビジネスに走る原因を作ってしまいます。
受入企業に問題があり、本当に「支援」が必要な状況で「転職支援」を行うことは良いことです。しかし「わがまま」な問題児人材が転職希望をする場合、現状維持の説得ではなく、「わがまま」を聞き入れ良い人(登録支援機関)を演じ、金儲けの一環として転職支援を行う、更には悪用して「引き抜き行為」「転職勧誘」など悪用する方々が現れるかもしれません。
送り出し国に「ブローカー」の排除を求め、技能実習制度の厳格化により減少してきた「ブローカー監理団体」に逆行して、再び日本側にブローカーを生み出す制度となっては、更なる海外からの批判を受けることが想像できます。