円安状況の危機感を理解すること

【円安状況の危機感を理解すること】(技能実習制度)

(ベトナム)2019年9月:1円=約215ドン/現在1円=約165円

1㌦が140円超えたのか…以前は100円前後、40円か…海外事情に精通することもなく業界参入している方も多い世界ですので、「たかが40円」と気にも留めていない、危機感の無い人も多いと思われます。

「為替相場が良くなったら送金すれば良い」

このような安易な発想で技能実習生に指導をしている人もいるかもしれません。

では、いつになったら為替相場は以前のような状況に戻るのですか?

技能実習生=出稼ぎ、お金が必要なのは「今」なのです。1、2ヶ月先に送ることぐらいは我慢ができても、1年、2年も耐えることはできません。脳裏に浮かぶのは「失踪」。1円でも高い給料の場所に行けば…盗難、賭博、物品売買…やれることは何でもやる。

優良な送り出し機関においては、事細かく現状説明を技能実習生に行います。給与、手取り総額説明、残業実態、以前との相場の違い…それでも経験も、まだ出国もしていない技能実習生が本当に「理解」をすることは難しいことですし、出国をして現状を知って文句を言い出す人も必ずいます。だから言わんこっちゃないと、更に丁寧に事前説明を行えば、出国を辞退するかもしれない。それでも日本側から技能実習生のオーダーが入れば「集まりません」とは口が裂けても言うことができない。だからこそ日本側関係者が状況を汲んで、待遇を見直してオーダーをするのか、国を変えるのか決めていく必要があるのです。

例として挙げた、ベトナムの新型コロナウイルス前と現状の為替相場。約1.3倍です。

日本における2109年の地域別最低賃金の平均が901円、現在は961円、「約1.06倍」です。

つまり地域別最低賃金通りに昇給したところで、3年前に活動した人から聞く手取り総額相場に届くことは無く、新しい技能実習生はその希望額に適う企業にしか応募しないか、日本への出国を希望しない。現在活動中の3年目以上の技能実習生は、頑張っても、頑張っても、3年前の手取り総額(母国通貨換算)には追い付かない、完全にモチベーションがダウンしているわけです。

為替相場は国民が努力しても改善できることではありません。ただ為替相場の差額分は最低でも昇給しないと、外国人材の募集もできない。昇給・国替えで対応するのか、コスト的に最も安い「日本人の採用」に切り替えるのか、しばらくは円安傾向が続くと言われていますので、経営者は既存の「人手不足=外国人材」では乗り越えることができなくなります。

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